「本当は過労で亡くなった?」退職きっかけ編・第8話

筆者

「退職きっかけ編」の中で一番恐ろしい話かもしれない。今でも真実は分からないままなんだ。

転職の神様

推測で話すのは良くないが、お主にしか分からないこともあるんじゃろ?

存在を消された店長

亡くなったのは、私と同じ地域の別店舗で働いていた店長でした。

彼は40歳前後。明るく活発で、地域の店長たちをまとめる(エリアマネージャーのような)役割も担っていて、私よりだいぶ階級の高い先輩でした。

私が彼と初めて会ったのは地獄会議の時。

入社したばかりで右も左も分からない私にも話しかけてくれ、「カラオケ店で働くの、楽しい?」とか「昨日、遅番だったから眠いぃぃ~」とか当たり障りないことを言っていました。

今思えば、名前も知らない私に話しかけてくれたのは、緊張を緩めるための彼なりの優しさだったのかもしれません。

だれかれ隔てなく明るく接する人で、きっと周囲からの信頼も厚い人なんだなぁと思いました。

そんな彼が急に、姿を消した。

月1回の地獄会議に毎月参加していた彼が、ぱったりと姿を見せなくなりました。

全国に展開しているカラオケチェーン店なので、遠くの店舗に異動したということもよくあります。

しかし、そうだったとしても、そういう辞令は地獄会議で出され、その場にいる他の店長全員にも知らされるものでした。

黒井部長含め、上司たちは誰も彼のことを口にしないし、まるで彼が最初から「居なかった」ように振舞っていました。

そんな上司たちに私は違和感を覚え、同期や仲の良い先輩たちから情報を集めました。

すると、どうして姿を消したのか、その真実が少しずつ見えてきたのです。

命日

結局、地獄会議に毎回出席する黒井部長は、一切、彼がどうして姿を消したのか私たちに伝えることはありませんでした。

毎回、会議に出席していたエリアマネージャークラスの人物が急に居なくなったんです。絶対に説明する必要があるでしょ。

それなのに、しない。おかしい。

いつもは「仲間」とか「団結」とか言ってるくせにね。


ここからは、私が集めた情報を元に推測したものです。

あくまでも推測。

でも、彼が居なくなった理由を誰も話したがらなかったこと、まるで「最初から居なかった」ように扱ったことは私が感じた事実です。

情報を教えてくれた人がウソをつく理由は無いと思うし、言いたくないことを言ってくれたので、私は真実だと思っています。

【彼が亡くなることになった当日の流れはこうでした。】

彼はその前から2週間程、連日、人手不足と店長業務(管理業務)に追われ、毎日15時間程働いていました。

彼は自宅から勤務店舗まで車通勤しており、往復で1時間。

自由な時間が1日8時間あるじゃん、と思うかもしれませんが、店長でしかもエリアマネージャーの彼は、その8時間も働いていました。

1日に何度も掛かってくる電話が、寝ている間にはかかって来ないわけはありません。店舗に来るよう呼び出されたこともあったでしょう。

こうして、彼の体力は削られて行き、日に日に体調が悪くなっていったそうです。

そして、命が消える日。

その日も忙しく、連日眠れていなかった彼はさすがに限界が来たと思ったのか、カラオケスタッフに「一旦、仮眠してくる」と言って自宅に戻ったそうです。

そして、自宅のベットに眠り、そのまま目を覚ますことはありませんでした。

彼には、奥様と娘さんが居ます。

どんな気持ちで、その瞬間を見つめていたのでしょうか。

心が痛いです。

あくまでも推測ですが、上司たちの反応と集めた情報を合わせると、限りなく真実に近いと思います。

どうして奥様と娘さんが行動を起こさないのかは分かりません。

また推測になってしまいますが、会社から何か働きかけがあったのか、どちらにせよとても恐ろしい会社であることは間違いありません。

集めた情報を同期たちと話し合い、「これって過労死だよね?」と震え上がったのは今でも忘れない。

これが、私が「絶対退職しよう」と思ったきっかけのひとつです。

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