入社式は汚ねぇ部室。“期待してる社員”への待遇がコレ?

30代筆者(驚愕)

何ここ?10年使ってない物置部屋じゃん。ゴホッ!ゴホッ!……ホコリすげー。

転職の神様(ウインク)

では、入社式を始めます(笑)

他店舗の物置部屋で入社式

みんなは「入社式」って聞くと、どんなイメージですか?

私は、体育館とか講堂にパイプ椅子が等間隔に並んでいて、そこにスーツを着た新入社員たちが壇上を見つめ、スポットライトに照らされているイメージです。明るく、希望に満ち、開けた世界。

よく入社シーズンになると、夕方のニュースで大手企業の新入社員たちの抱負をインタビューしている映像が流れますよね。あのイメージを私は持っていたんです。

でも私の入社式が行われたのは、長年使ってなかっただろう物置部屋でした。 バイオハザードとかウォーキングデッドでゾンビから身を隠すための廃工場。

最初は「いやいやいや!!んなわけないっしょ!!こらこらこらぁー!!」ってツッコミたかったですよ。でも上司たちがみんな真顔だから飲み込んで、さも当たり前ですよね感を出しました。

窓から差し込む太陽の光が、室内で舞っているホコリを映し、キラキラと輝いているんです。ああ、なんて劣悪な環境なんだ。医療用マスク付けてくれば良かった。

給与は“減点方式”

上司の号令のもと、入社式(笑)が始まりました。

まず、会社の歴史DVDを見せられ、この会社はすごいんだぜ!入社おめでとう!!という雰囲気が作られていきます。

そして、これから店長を目指していく私たち社員の給与とスケジュールが発表されました。

実は、この時まで「試用期間」として、給与は20万。手取りで16万でした。この試用期間が入社から2ヶ月続いていたんです。このまま試用期間が続くのは嫌だし、給与がどうなるのかはめちゃめちゃ気になる内容でした。

「給与は来月から24万。そして、今から4ヶ月後に副店長試験を行う」

(ひゃっほーい!さすがホワイト企業、来月から4万もアップだぜ!!)

「その副店長試験で点数を残せなかった者は、20万に戻るからな」

(4万アップ!!4万アップ!!4マンあっぷぅ!!)

(…………ん?20マン?20万に戻るって言ったかコイツ?)

そう。つまり、「副店長がもらえる給与24万を来月から支払う。その代わり、4ヶ月後の副店長試験は全力で合格点を取りに行け。ダメだったら20万に逆戻りだからな。」ということですね。

この制度、あのラスボス黒井部長が考案したものなんです。

【人は、これから手に入るものよりも、今あるものを「失う」ことに対して強い動機づけを見出す傾向がある。】

心理学ですね。

「これから頑張れば24万!」よりも、「頑張らなかったら24万取り消し!」のほうが心が揺さぶられるということ。さっすが黒井部長。マインドコントローラーだなぁ。

新卒の給与は最初から「24万」

はい、みんな。この会社のすごさが分かったかな?

新卒より年齢が上なだけじゃなく、社会経験も重ねてきた自負があり、中途採用された社員たちはみんな「新卒よりは給与は良い。これは間違いない」と思っていました。

これには理由があって、上手な刷り込みがあったんです。

上司たちは私たち中途採用の社員に何度もこう言いました。

「君たちの経験を考慮した上での給与になっているから、新卒の子たちと比べたり、給与の話をするのはタブーだからな」

これのすごいのは、まずウソは付いていないこと。そして心理を利用して上手く口封じしようとしたことです。

(俺たち中途のほうが給与が多いんだから、新卒にいくらもらってるのか聞くのはイヤミになるよな)って。ホントは逆なのにwww

私たち中途が給与20万の試用期間の時、新卒は24万もらっていたんです。

どうして私がこの真実にたどり着いたのか。それは同期に新卒の若井社員が居たからです。若井社員とは本当に仲が良く、何でも話し合えていましたから、給与のこともサラっと真実に触れることができました。

中途と新卒が同じ店舗で同期として働いているのはかなり珍しいことなのですが、私たちの仲の良さを感じていた上司は「いつか給与のことがバレてしまうのではないか」と私たちには個別に何回も給与話はタブーと吹き込んできました。(若井社員も何回も言われたと言っていました)

黒井部長、「給与のことは若井社員に言うなよ?ショックを受けると思うから」って、ショックを受けるのは私のほうだったんですねwww

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社訓を覚えて一人前だよ?人として扱われないけどな。

転職の神様

覚えなくてはいけない社訓の量は、どのくらいなんじゃ?

30代筆者(納得)

全部で、だいたい1,500文字だよ。

一言一句、間違うな。

副店長試験に向けて、勉強しなければならなくなりました。試験に合格しなければ、24万の給与が20万になってしまいます。それは絶対に避けたい。

副店長試験は実技+筆記で、筆記は社員マニュアルに書かれていることをある程度覚えておけば通ります。

問題は実技。

これは、最初に習う「ルーム清掃」と「社訓の唱和」です。

この社訓の唱和がとても厄介なんです。なぜなら社訓は全部で10種類。ひとつ150文字くらいで、合計1,500文字の量。

例えば「接客用語」

①いらっしゃいませ。
②はい、かしこまりました。
③少々お待ちくださいませ。
④お待たせ致しました。
⑤恐れ入ります。
⑥失礼いたします。
⑦ごゆっくりどうぞ。
⑧申し訳ございません。
⑨ありがとうございました。
⑩行ってらっしゃいませ。
⑪またお越しくださいませ。

例えば「防火防災宣言」

我々は日頃より~

…………あれ?

覚えてないやwww

~をここに宣言致します!みたいな長ったらしい文章。

これを、試験官に向かって全力で叫んでいく。声が小さかったり、間違えたり、つっかえたら強制終了。0点。

接客用語の①~⑪までの順番を間違えてもダメ。意味は同じでも違う言葉を使ってはダメ。助詞「て」「に」「を」「は」も間違ったら即失格。厳しい。

これを10種類全部覚えて試験官に叫び散らし届けるわけです。

そう決まっているから、やる。

10種類もどうやって覚えたかと言うと、平社員時代は出勤したら毎日、空いているカラオケルームで練習するんです。防音ですから、どんなに叫んでも外に声は漏れない。

ほんっと、喉がちぎれるくらい練習させられました。

コレ、客観的に聞いていると、なんでそんな無駄なことさせられてんの?って感じですよね。

接客用語とか防火宣言の重要さは分かりますけど、内容や順番を一語一句間違えてはいけない理由って、「この会社がそう決めているから」ってだけですよね。

でも、この頃には、なぜこの行為をしているのか?に対する答えが次の二つでした。

「みんなそうやってきた」「試験に出るんだから覚える」

答えになってないwww

先輩社員に、「社訓を覚えて一人前だよ」と言われたことがありますが、この会社には一人前も何も、人として扱われたことが無かったです。だから、「社訓を覚えたら会社の立派なロボットだ!」が正解ですね。

結局、1ヶ月毎日練習してたら喉がちぎれる前に暗唱できるようになってました。

でも、あんなに練習したのに、もう今は思い出すことができません。いくつか思い出せそうかな?と思ってこの記事を書いたのですが、完璧に覚えているのはひとつもありませんでした。

上の「接客用語」も、他社の接客用語を見て、何となく思い出して書いた内容です。

人間の脳って良く出来てますよね。不必要なことは記憶から無くなるようにできてる。

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「マニュアル読めよ」がOJT。ブラック鬼カラオケ店、平社員編スタート!

転職の神様(笑顔)

A:地獄ルート。
B:地獄ルート。
どっちじゃ?

30代筆者(呆然)

えっ?……はっ?

OJTは社員マニュアル。

私のカラオケ店社員としての勤務がスタートしました。

その場にいた朝帯の人(朝の時間帯8:00~12:00に働いているスタッフ、主婦やフリーターが多い)にまずは挨拶。カラオケ店だからか、みんな明るくてコミュニケーション能力が高い人ばっかりでした。

そしてすぐ丸井店長に連れられ、空きルームへ。新人は、「ルーム清掃」から教わるんです。

  1. 部屋の電気を点け、お客様の忘れ物が無いかチェック
  2. 部屋にリセッシュを満遍なく噴射
  3. インターホンのアルコール消毒
  4. エアコンのリモコン消毒・電源OFF
  5. メニュー表の消毒
  6. 机・イスの消毒
  7. マイク消臭・消臭済カバーを付ける
  8. デンモクの消毒・充電
  9. カラオケ機器の音量を「標準」にする
  10. 消灯

「この10項目を順番通りに覚えなければいけません」と丸井店長ではなく社員マニュアルから教わりました。

丸井店長は初めの一回だけ見本をみせて、「あとはコレ、読んどいて」と社員マニュアルの清掃関連ページを指さして、どこかへ消えていきました。店長は忙しいですからね。

この会社、新入社員向けの社員マニュアルと、店長向けの店長マニュアルの2つのマニュアルがあるんです。どちらも広辞苑くらいの厚さで、清掃方法や名刺の渡し方、スタッフとのコミュニケーションの取り方など、社員や店長として出くわすあらゆる出来事やトラブルに対応できるようにまとめられたバイブルなのです。

マニュアルがある会社は珍しくないですが、それにしても分厚いんです。こんなものが社員用と店長用の2冊も各店舗に置いてあるのはなぜだと思います?

答えは簡単。

「上司に質問する時間があるなら、マニュアルで即解決してその分働け」ですね。マニュアルが解決してくれれば、上司と部下の実労働時間が増えますもん。腹立ってきた。

OJTとは「On the Job Traininng」の略称で、新人や未経験者に対して、実務を体験させながら仕事を覚えてもらう教育手法です。それを洗練し、どんどん簡略化した結果が「マニュアル見ろよ」になったんでしょうね。

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店長・新卒・中途採用された社員。それぞれのブラック企業。

30代筆者(驚愕)

やったぁ!正社員として採用されたぞ!カラオケ店の社員なんて楽しそうだぁぁぁ!

転職の神様(笑顔)

これから地獄に落ちるんじゃな。あ、もう落ちとるのか。

新卒社員との出会い

面接会場だった最寄りのカラオケ店へ初出勤すると、若い大学生のような人がスーツ姿で事務所に立っていました。彼は大学卒業と同時に就職する「新卒採用」の社員(仮名:若井社員)でした。

若井社員は、共にラスボス黒井部長を倒そうと協力した戦友です。この時は、お互いに夢と希望に溢れていたので、そんなことになるなんて考えもしなかったんですが。

私が恵まれていたのは、この若井社員が同期として居てくれたことです。私は中途採用ですので年齢差がありましたが、すぐに打ち解け、気づけばお互いにタメ口で気軽に話す仲になっていました。

若井社員が居ることで精神的にも楽だったんですが、もう1つ、良かったことがあります。

それは新卒採用者と中途採用者の待遇の違いに気づけたことです。

給与・賞与・労働時間・試用期間・店長への昇進スピード、「差別か!」って言うぐらい、はっきりと中途採用者とは違ったんです。ちょっと長くなりそうなので、また別の機会にこの詳細を書きますね。

転職の神様(笑顔)

中途でも新卒でも、同期は居るだけでありがたいものなんじゃな。

30代筆者(ウインク)

うん。社員同士の絆ってやつだね。

店長も善人だった

丸井店長は仕事のできる人でした。売上もガンガン伸ばし、黒井部長も「丸井さんが言うなら、、、」(丸井店長の方が10歳くらい年上なので)と一目置かれる存在で、私もとても頼りにしていました。

私と同じく中途採用者だったらしく、優しくしてくださいました。今思うと、あの優しさは、これから壮絶な地獄の日々が始まることが分かっていたからこその丸井店長の気遣いだったのかもしれません。

しかし、そんな立派な人がどうしてこんなブラック企業にいるのか。ちょっと不思議に思いませんか?

丸井店長の前職は管理職だったと聞きました。そこもとてつもないブラック企業で、体調を崩す前に辞めたのだと。おそらく、その助言をしたのは丸井店長の奥様と娘さんだと私は思っています。

というのも、奥様と娘さんが丸井店長の誕生日を祝いに、お店に来たことがあったんです。50代のサラリーマンの職場に妻と娘が来てハッピーバースデーってやばい超狂ってると思いました?カラオケ店とはいえ、ちょっと……って?

それぐらい会えなかったんでしょう。丸井店長は単身赴任者でしたし、疲れ切って眠るまで受付カウンターに立っているような人ですから。もちろん眠るのは空いているカラオケルームでですけど。

だから私にとって、丸井店長にサプライズバースデーを仕掛けた奥様と娘さんとの光景は、全然奇妙なものでは無かったんです。むしろ感動していました。

話を戻すと、丸井店長は愛する家族を養っていけるだけの安定した収入と、前職よりも体への負担が少ないと考えた職に移ったが、そこもブラック企業だった。

家族のことを考えると、転職したくてももうできない。言い出せない。

これは私の憶測です。でも私が丸井店長の立場なら、そう思っていたはずです。でも、誰にも言えない。言ってもどうしようもないですからね。

なんか、泣けてきた。

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「人であれば合格。」ブラック企業、恐怖の面接!!

30代筆者(笑顔)

初めまして。まじめと申します。自分のこれまでの経験は御社で活かせると感じ、応募させていただきました!

転職の神様(笑顔)

おお、気合充分じゃのう。

面接会場は「最寄りの店舗」

面接というと、ビルの中にある会議室を一部屋借りて、そこを会場にするというイメージを持つ人もいると思いますが、私は「近くの店舗に行ってください、そこで面接を行います」と言われました。

指定されたカラオケ店に行ってみると、そこの店長さんらしき50代くらいの人(仮名:丸井店長)がカウンターの受付で待ち構えており、「コチラにどうぞ」と空いているカラオケルームへと案内してくれました。

そうです。面接会場はカラオケ店のカラオケ部屋だったのです。その時は「ああ、カラオケ店だもんなぁ」と自然に受け入れていたのですが、よく考えたら事務所の中とか、別に会場を設けることはしてくれなかった、ということですよね。

転職の神様(笑顔)

歌いながら面接したんじゃな?楽しそうじゃ~。

30代筆者(怒り)

んなワケねーだろ!!

面接ではなく、ただの会話。

カラオケルームでの面接が始まりました。面接官は丸井店長ひとり。

社員登用面接ですから、会社の役員や面接の担当者が何人か並んでいてもおかしくないはずですが、丸井店長ひとりだけ。面接官っていうか、カラオケ店のおじさん。

最初に履歴書を提出しました。

丸井店長は履歴書を5秒くらい眺めた後、「おウチは近いの~?」「カラオケ店のイメージってどう?」「接客とか、経験ある?」と質問してきました。

私は面接っぽく、やや緊張しながら受け答えました。応募した以上は採用してもらいたいという気持ちがありましたから、何とか良い印象を与えたいと思い、会社やカラオケ業界のヨイショもしました。

でも、丸井店長は終始うわの空だったんです。なぜでしょうか?

おそらく、余程のヤバいやつじゃない限り採用することが決まっていたんでしょう。ヤバいやつっていうのは、コミュニケーションが全然取れない人とか、一人称が「俺」とかの人。私はほぼ採用が決まっている採用面接に行っていたんです。

「面接」はあっさり10分程で終わりました。最後のほうは「犬派?猫派?」みたいなどうでも良い質問に答える奇妙な時間でした。

その日の午後、スマホに着信があり、「おめでとう、採用とさせていただきます。これから仲間として、一緒に頑張っていこう」と言われ、少し感動しました。この電話は、丸井店長からではなく、ラスボスの黒井部長からでした。

この時、私は「いや、面接こいよオマエ」とは一切、思いませんでした。

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スピード対応で面接・採用。それは人手が足りないだけ。

30代筆者(納得)

Web応募して20分後に電話がかかってきて、2日後に面接が決まったんだ。

転職の神様

対応の速さには関心じゃが、なんだか「速すぎる」気がするのう。

ヤツらは、考える時間を与えない

どこかで聞いたことある文言だと思いません?

そう、これは詐欺師の常套手段。冷静に考える時間を与えてしまうと、正常な判断をされてしまいます。だから少しでも早く連絡し、次の行動を促したのです。

彼らを詐欺師呼ばわりするつもりはありません。人手不足は事実でしょうし、スピード感あふれる対応は会社として素晴らしいと思います。

しかしながら、この超ブラック会社の鬼カラオケ店で、私が経験した内容にはほとんどこのやり方が当てはまっていたのです。会社の策略なんでしょうね。あ、言い方がちょっと悪かったですね。会社の方針なんでしょう。

これから就職活動・転職活動を行う人へ伝えたいのは、本当に良い企業は「考える時間」を与えてくれます。それは、最善の選択をあなたがすることで、お互いがプラスになると理解しているからです。

あまり考えずに入った会社と、熟考してから入った会社では、どちらの勤続期間が長いか、熟考せずとも分かりますよね。

転職の神様(ウインク)

ちなみに、その電話、誰からだったんじゃ?

30代筆者(ウインク)

いい質問だねぇ~。後から分かったことなんだけど、かなりのお偉いさんだったんだ。

エリアマネージャーからの電話

この会社は全国に営業部があるのですが、都道府県ひとつに一人いるエリアマネージャーと呼ばれる責任者(黒井部長:もちろん仮名)からの電話でした。

この時は「エリアマネージャー?は?」と思うだけでしたが、今考えると、部長クラスから直に電話するくらい、新しい人材を大切にしていたんだな。ということが分かります。

ここでいう「大切」っていうのは、人を大切にするって意味じゃなく、新しい労働力として大切という意味です。説明してて泣けてきたよ。

そういう意味で大切な人材なので、面接日時をなるべく早く設定しようとしている感じが電話でも伝わってきました。もう、明日、あさっては?くらいの感じ。

まだ履歴書を書いてなかったので、早くても2日後にしようとしたら、2日後になりました。

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