「夫婦喧嘩の仲裁も労働条件に含まれています」黒トラブル編・第3話

夫婦喧嘩
転職の神様(ウインク)

個室でケンカしてしまうこともあるじゃろ。

30代筆者(納得)

それが、そうじゃないんだ……。

怒鳴りながら来店

40歳ぐらいのおっさんとおばさんがお互いに怒りをぶつけ合いながら受付カウンターに来るんです。最初は、新手の強盗かと思いましたよ。

そういう「ヤバい客」の受付って、自然と店長がやる流れになるんで、私が対応したんです。

まじめ店長「いらっしゃいませ、タバコはお吸いになりますか?」

おっさん「………………」

おばさん「………………」

まじめ店長「……………」

(えっ。ナニコレ。)

まじめ店長「あの、タバコは、吸われますか?」

おっさん「…………うん」

(あっ喋った。「うん」ってなんだよ。まぁいいやさっさと喫煙ルームにぶち込んどけ。)

まじめ店長「では、こちらの喫煙ルームにご案内させていただ___」

おばさん「別々で」

まじめ店長&おっさん「えっ?」

おばさん「この人と別の部屋にしてください」

おっさん「おい、お前なに迷惑なこと言ってんだよ!!」

おばさん「別に空いてる部屋があるんなら、迷惑じゃないでしょ」

おっさん「………………」

まじめ店長「……ど、どうなさいます、か?」

おっさん「じゃあ、別々にしてくれ」

まじめ店長「あ、ハイ。では、こちらとこちらのお部屋にご案内します」


と、こんな感じで2人は別々の部屋に入室したんです。

私は受付カウンターに戻ってきて、一部始終を見ていた他のスタッフとミニ会議。

結論。

「40歳でこじらせてる夫婦」

お互いに意地を張り合って本音が上手く伝わらないカップル(夫婦)なんじゃないか?という結論に至りました。色んな客が来ますから、大体わかるよね。


お互いの言い分は?

注文のあったメニューをそれぞれの部屋に届けたんですが(もちろんおっさんもおばさんも私が届けました)、そこでお互いの言い分を私にぶつけてくるんです。

おばさん:今日は結婚記念日。なのに旦那は覚えてない。息子(高2)に言われて、旦那が「ハッ!」と気づいた感じにすごくムカついて、口論になった。

(結婚記念日だったんかい。おっさん、うまく取り繕ってくれよ。)

おっさん:結婚記念日だって忘れてたのは悪いけど、あそこまで怒ることないだろ。せっかく息子(高2)が教えてくれて、フォローしようとしてくれたのに。

(うーん。忘れてたおっさんが悪いような気がするなぁ。)

おばさん:ケンカしてる私たちを見て、息子(高2)が気を利かせて、「今から2人で出かけてきなよ」って言ってくれたのに、カラオケって。ああ、カラオケが嫌なんじゃなくて、結婚記念日に行くところがカラオケって。ねぇ。

(複雑だわ店長として。まぁでもカラオケだけって言うのはちょっと寂しいかな。どこかでディナーして、それからならわかるけど。っていうか息子(高2)良い奴だな。)

おっさん:20年前に初めてデートで来たのがこのカラオケ店なんだ。だからここは2人の想い出の場所なんだ。結婚記念日と聞いて、すぐ浮かんだのがここだったんだ。記念日を忘れてたのは悪かったけど。

(なんだって……。結婚記念日を忘れていたのは、おっさん。でも2人の初デートを忘れていたのは、おばさん。なんてこった……。)

そして厨房でスタッフ全員とミニ会議。

あのこじらせ夫婦、結婚記念日なんだってよ。このまま別々の部屋で過ごしてていいのか?何か私たちにできることはないのか?

私の体は、自然と動き出していました。

記念日、おめでとうございます。

奥様を旦那様の部屋に何とか言い訳をして連れ戻し、そのタイミングで、

「「「結婚記念日、おめでとうございまーす!!!」」」

サプライズで2人の記念日を祝うことにしたんです。

他のスタッフも手伝ってくれました。良い店でしょ。

小さめのスポンジケーキを生クリームでコーティングして筆チョコで「記念日おめでとう!」と書かれた粗末なケーキ。

それでも、そんなケーキが人の心を動かすことを私は知っていた。

その後は、2人の部屋に入ることは無かったから、部屋の中でどんな会話があったのかは知らない。

でも、退室後に2人が居た部屋に入ると、ケーキが綺麗に無くなっていたんです。

お皿の上には、2本のフォークが重なって置かれていました。

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投稿者: 24中(2浪4留して大学中退)

2年浪人して、やっと合格した大学を4年留年し中退した僕。 なんとか就職できた会社で待っていたのは、会社の飼い犬 「社畜犬」として理不尽な環境に耐え続ける日々だった。 嫁も子供も資産も無い。 (本当に、このままでいいのか?) ネクタイという名の首輪を外し、自由で幸せな人生を過ごすため、 一匹の犬が立ち上がった。

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