「みなし残業」でひどい目にあったから、なんか「みなし」って良いイメージないんだよね……。
特に災害時に必要だと言われている制度なんじゃ。
みなし失業とは?
「みなし失業」とは、休業を余儀なくされ、給与を受け取ることができなくなってしまった人について、実際には職を辞めていなくても、失業しているとみなして、失業保険を受給できるようにする特例措置。
簡単に言うと、「失業してなくても、失業しているようなものだから、失業保険を受給できますよ」ってこと。
この「みなし失業」という特例措置が適用されれば、長期間働けない状態にある多くの労働者が安定的な収入を確保できます。
※新型コロナの影響で休業させられたにも関わらず、休業手当を支払ってもらえない中小企業の労働者が対象。労働者が直接申請し、休業前の賃金の80%を休業日数に応じて受け取れる仕組み。
私は、「新型コロナ時」だけでなく、災害時には広くこの制度が適用されるべきだと思っていますし、また、そうなると考えています。
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みなし失業のメリット
この措置は、労使双方にメリットがあります。
労働者からすれば、「失業」とみなされ失業保険を受け取りながら、会社には在籍し続けることができる。
一方、事業主からすれば、金銭的な負担を負うことなく、従業員の雇用を維持することができる。
これが実現すれば、整理解雇(リストラ)が抑制され、失業者の増加をくい止められるはずだと思います。
これまで政府が重視してきたのは雇用調整助成金制度。
コロナの影響を受け、この制度を利用しようと申請者が続出しましたが、中には手続きの煩雑さから途中でやめてしまう人もいました。
記載事項が「73項目」もあったんです。
手順と必要書類の多さに、何度もハローワークに足を運ぶ経営者の方がニュースで報道されていましたね。(雇用調整助成金の申請はハローワークで行う)
「申請に時間をかけている場合ではないのに、何とかならないのか」
とおっしゃっていた方が印象に残っています。
さらに支給まで時間がかかるという点も指摘され、申請をしない事業主も多いのが現状でした。
これらの問題点を解決してくれるのが「みなし失業制度」なのです。
「みなし失業」は、労働者自らが手続きを行い、労働者に直接支給される仕組みなので、受け取りまでのスピードも早いです。
やることは失業保険の手続きなので(少し名称などが変わっているだけ)、ネットに申請方法や受給までの流れなどの情報が豊富に存在します。
さらに、「ハローワーク職員の負担を軽減する」というメリットもあります。
雇用調整助成金というのは、社労士でも申請書類の記入や申請方法に詳しい人は少なく、今回のコロナ禍でとても苦労したといいます。
普段は職業相談に乗ったり、失業保険申請の窓口になっているハローワークの職員も慣れておらず、「煩雑な手続き+慣れていない職員」という最悪の組み合わせになってしまったのです。
しかし、「みなし失業」は結局「失業保険」なので、ハローワーク職員は慣れており、申請手続きもスムーズに行えるというメリットがあるのです。
南海トラフ地震で何が起きるのか
上の画像は、南海トラフ地震が発生した場合の各地の震度分布の推計です。
政府の地震調査委員会は、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に「70~80%」の確率で発生すると予測していて、四国や近畿、東海などの広い範囲に被害が出ると想定しています。
激しい揺れとともに、沿岸部には最大30メートル超えの巨大津波が押し寄せるとされ、最悪の場合、関東から九州にかけての30都府県で合わせて30万人以上が死亡するとの推計が出ています。
あの「東日本大震災」を大きく上回る被害が出ると言われているのです。
まずは命の安全が何より優先されるべきですが、経済的な被害にも目を向けなければなりません。
南海トラフ地震の経済的な被害は国家予算の2倍以上の総額220兆円に上るとされています。
“仮”失業者への救いの手
南海トラフのような災害が起きると、企業が倒産し、失業者が増加します。
そういった方へは「失業保険」があるので、しばらくは生活資金に困らないのですが、「会社は存続しているが、業務が停止状態にあり、給料をもらえていない」という労働者は、失業保険を申請することはできません。失業してませんからね。
「みなし失業制度」が採用された場合、こういった「“仮”失業者」も失業保険の申請・受給が可能になります。(失業保険という名目ではないと思いますが)
※現在の名称は「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」となっていますが、そのうち様々な災害時にも適応できるような名称に変わっていくと思います。
会社と従業員を同時に守る制度です。万が一、あなたが“仮”失業者になった場合、この「みなし失業制度」を思い出してみてください。