【閲覧注意】「ゲロ処理ノンフィクション」黒トラブル編・第2話

30代筆者(話す)

ゲロのことを「爆弾」、ゲロ処理のことを「爆弾処理」、店長のことを「爆弾処理班」と呼ぶよ!

転職の神様(笑顔)

年間だと、どのくらい処理するんじゃ?

年間30~50回ゲロ処理

ゲロゲロ言うのはちょっと嫌なので、これ以降は「爆弾」と呼びますねw

爆弾が設置される時間帯は、お酒が提供される夜から深夜にかけてです。

爆弾設置場所ランキングはこちら。

爆弾(ゲロ)設置場所ランキング

第1位男子トイレ
第2位廊下
第3位カラオケルーム内(利用している部屋)
第4位女子トイレ
第5位カラオケルーム内(利用していない部屋)

説明しますねww

やっぱり多かったのは「男子トイレ」の個室。便器の中に設置して、そのまま流してくれれば良いんですけど、見事に外してある。

ただ、最近のトイレって、水で洗い流せるようにちょっとだけ床が傾いているんです。知ってました?

専用の器具で、男子トイレの床を全部洗い流せる排水溝の蓋を開け、爆弾ごと流せるんです。

だから、思うんです。

「よくぞトイレまで辿り着いた!」と。

水で洗い流すだけですからね。

引用:レクリエ

あ、ちなみに、爆弾には「ノロウイルス」がいる可能性があるので、こういう恰好をして処理します。キャップやゴーグルはしてなかったかな。

年30回はこういう恰好に着替えるってことですねw

ノロウイルス……体内に入った後、小腸の上皮細胞で増殖し、胃の運動神経の低下・麻痺が伴うために主に「腹痛・下痢・吐き気・嘔吐」の症状を引き起こします。潜伏期間は12〜48時間です。


第2位の「廊下」。

これは爆弾処理における最悪の場所です。

なんでわざわざ廊下に設置するんだよ?って思いません?

気分が悪くなって、トイレに向かっている間に我慢できなくなって設置してしまう。トイレに辿り着けなかったパターン。

私が鬼カラオケ店で働いていた時、ガラの悪いおっちゃんが連れてたギャルが廊下に爆弾設置してるところを見てしまったことがある。

そのギャルは爆弾を設置すると体調が回復するタイプのようで、お好み焼きのような爆弾を設置した後、私に向かって親指を立てながらこう言った。

「お兄さん、よろ~!!」

よろ~、ってよろしくって意味だよな?テメェぶち〇してやろうか!?

と思ったけど、逆らっても良いことが無いので着替えることにしました。


第3位は「カラオケルーム内」

これは、ルーム内の客が酔っぱらって設置して、そのまま帰ったパターン。

踏む可能性あるんだから、せめて伝えてくれよww

「カラオケルーム内(利用していない部屋)」が第5位に来ていますが、これはどういうことかと言うと、、、

例えば、あなたが仲の良い人たちと集まってカラオケしていたとします。

同じ部屋に10人くらい。

お酒も深くなり、みんなベロベロに酔っ払い、あなたも気持ちが悪くなるくらい飲みました。

うぇぇ、気持ち悪い。トイレ行こ。

……トイレ、トイレ、

………………といれ、といれ、

……………………toilet、toilet……

……どこ!??!?!?!?

やばい、このままだと廊下に爆弾設置してしまう…………。

みんなのいる部屋に戻るのも嫌だし、あっ。そうか。

【誰もいないカラオケルーム内で爆弾設置しよう!】

というわけです。ニンゲンっておそろしいね。


「女子トイレ」が第4位に来てますが、爆弾に性別は関係ありません。

女子トイレに清掃に入った時に、設置音が聞こえてきて、切ない気持ちになったこともあります。

あ、ウチの店舗は人手不足だったんで、女子トイレも男子従業員が清掃します。

凝固剤で固めて廃棄。

生々しい話ですね。

引用:アマゾン

このような爆弾処理用の凝固剤を使って、爆弾を固めて、専用の使い捨てホウキとちり取り(のようなもの)で処理していました。

この凝固剤を開発してくれた方、本当にありがとうお世話になりました。

これを上からふりかけみたいにかけるだけで、見事に水分が吸収され、粘土みたいになるんです。

あとはそれをまとめて、二重にしたビニール袋に入れて、すぐ廃棄する。

これが、爆弾処理の流れです。

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「たこ焼きヤクザは保護者なの」黒トラブル編・第1話

転職の神様(笑顔)

ほっほっほ。何じゃ「タコ焼きヤクザ」って!

30代筆者(笑顔)

笑い事じゃねーんだよ

店長、いいから、来てください。

久しぶりの休日。

日々の激務で体はどこも痛いし精神的にも辛い。

でも今日は休日。

スーパーで買った刺身をつまみにビールでリフレッシュだ!!

プシュッ……。トクトクトク……。

ゴク……ゴク……ゴク…………。

プっはぁぁぁぁぁぁぁ~!!!うまい!!最高だぜ!!

マグロとブリと、この魚はなんて魚だ?まぁいいや美味い美味い!!あはは!!

…………。

……………………。

……ん?もうすぐ23時か。そろそろ寝……

トゥルルルルル、トゥルルルルル!!

げっ!?

トゥルルルルル!!問うるるるっルルルル!!!

うわ、最悪だよ。はぁ……出るか。

はい。まじめです。なんですか?

……はい。……はい。

……わかりました。行きますね。

カタギじゃねえんだぞ?

酔っぱらっていた私は徒歩で15分かけて勤めていた店舗に向かいました。

火照った顔を冷ますように、夜風が気持ちよく吹いている。

……まぁ、なんとかなるだろう。

だんだん冷静になってきた私は、クレーマー対応のマニュアルを思い出していました。

相手の話を聞いて、心を込めて謝る(フリ)。

相手の言っている問題点を解決する案を提示し、それで納得していただけないか申し出る。

最期にもう一度、謝る(フリ)。

なんて簡単なんだ。余裕じゃねーか。

……着いた。

テロリローンテロリローン。

店内に入ると、いつもの陽気なBGMと共に、怒鳴り散らす声が喫煙ルームのほうから聞こえてくる。

全然ジョイサウンドじゃない。

怒鳴り声の方に近づいていくと、黒シャツのチンピラおっさんが、おばちゃんスタッフに向かってめちゃめちゃキレてる。

まじめ「お待たせしました。店長のまじめと申します」

チンピラ「あ゛?お前が店長か?ゴラァ!」

まじめ「はい。この度は、不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」

(うっわこの人、上は長袖なのに、下は短パンだ!タバコ消せよバカ)

チンピラ「カタギじゃねぇんだぞ?俺はよ?あ゛!?」

私、あんまり仁侠映画とか見ないし、こういうセリフってよく意味がわからないんですよね。熊を撃つことを生業としてる人?

カタギ…… 仕事や生活が真っ当で着実であること。また、そのような人。 感じで書くと「堅気」。

チンピラ「おい、なんで俺が怒ってんのか、言ってみろよ?」

(怒っている客をさらに怒らせてしまうのは、店員の「とにかく謝っておけば良いでしょ」という態度だ。こういう時の店員は、自分が何について謝っているのかわかっていない。「客が怒っていることに対して謝っている」のでは、客は納得しない。アタリマエ)

まじめ店長「はい。お客様が注文してくださったメニューを退室15分前にお届けしてしまったと従業員から聞いております」

(事前にスタッフに聞いておいて良かったマジで。あっぶねww)

チンピラ「そうだよな?こんな熱々のたこ焼き、カラオケしながら15分で食べろっておかしいよな!?」

まじめ店長「はい。お食事できる時間が短すぎると思います」

(食える食える余裕で。2分で。あと熱々って、メニューに「熱々たこ焼き」って書いてあるだろ目ぇ取れてんのか?)

チンピラ「じゃあどうしてくれんだよ!?もうとっくに時間過ぎてんだぞ?」

(お前のせいでな。)

まじめ店長「申し訳ございません。うちとしましては、今からルーム利用時間を1時間程サービスさせていただきたいと考えております。お客様のお時間さえよろしければ、いかがでしょうか?」

(この時、クレーマーが怒るのは、店員のちょっとした上から目線。例えば「ルーム代は無料にします。12時まで利用していいですよ」と言ったらブチ切れられる可能性もあります。あくまで、「こちらが悪かったので、その分サービスさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?」という態度が大切。)

チンピラ「ふん。そうか。子供も12時過ぎまで良いってことだよな?」

まじめ店長「はい。もちろんです!」

(いや聞いてねーわ知らねーわ子供いんのかよ。条例で保護者付き添いでも11時までだわ。ってことは、たこ焼き食うのオマエじゃなくて子供かよ。いやどうでもいいわ)

まじめ店長「(……やばい。このタイミングでもし警察に見回りに来られたら責任は……俺?くそがぁぁぁぁぁ!!!!)」

チンピラ「ん?どうした?」

まじめ店長「いえ、ごゆっくりどうぞ」

夜12時20分、一件落着。

退室10分前コールは急かしているように思われたらまたクレームになってしまうと思ったので、しませんでした。

すると、12時20分になって、チンピラとその家族が出てきました。ああ、奥さんはそんな感じか、だよね。うん。

そして何事もなかったかのように奥さんが会計を済ませ、帰っていきました。

警察来なくてよかった。


これが、休日を返上してクレーム処理をする具体的な例のひとつです。

お酒を飲んでいようが、風邪を引いていようが、行かなければならない。

私はこの事件以降、休日の夜はスマホの電源をオフることにしました。


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「苦あれど楽なし」社畜生産場シリーズ・研修最終日

転職の神様(ウインク)

人生、楽ありゃ苦もあるさ。

30代筆者(笑顔)

そんなことないよ

大衆を導く1人の上司

「大衆を導く自由の女神」みたいな響きですねw

女神だったら良かったんですけど、社畜生産場にいた上司はただのマインドコントローラーでした。

私は、中途採用者5人だけの入社式で「お前らはゴレンジャーになれ」と言われ、チームであることを強く認識させられたのを覚えています。

この合宿でも、「合宿の仲間は一生大切に」とか、「全国に散らばっていても、絆を忘れるな」とか、ドラえもんの映画で出てきそうなセリフを言われました。

「チーム」「団結」「仲間」

彼らはこの言葉を悪用して、同じ柄の首輪を私たちに付けようとしました。

そんなことをしたら、映画の時だけ優しいジャイアンも黙っちゃいません。

しかし、当時は全く気付かず、しっぽを振ってエサを食べている隙に、いつの間にか首輪をしていたのです。


2日目にして犯罪者になった盗田(とった)社員。タバコを吸って強制送還させられた暗井(くらい)社員。思い返すと、彼らには「落ちこぼれ」「脱落者」もっと言うと「クズ人間」のレッテルが貼られていました。

自分はそうは思われたくないし、「この会社でダメなら、どんな会社でもダメに決まっている」そう信じ込まされていました。

何の根拠があったんですかねww

この会社でダメなら、どこ行っても同じだよ。みたいなことは今でもよく言われると思いますが、そんなことはありません。

私がその証明です。現在は超ホワイト企業で毎日休みかってぐらいのんびり過ごしています。あ、過ごしていますっていうか、働いていますww

こうやってブログをやっている時間があることも証明になりますかね。

とにかく、会社と人との関係は、人と人との関係と似ています。違う会社なら全然関係が違ってくる。

変な催眠術に引っかかる前に、環境を変えることを考えておきましょう。

あなたにエールを贈ろう

筆記試験・実技試験は18名全員、無事に通過し、翌日から各店舗へ戻ることが決まりました。

別れを惜しむ中、生産場の教官が「最後にエールを贈り合おう」って言うんです。

贈り合う?

6人1組の3つのグループに分かれ、エールを贈り合う。1人ずつ、他の5人それぞれに向かって。

1人ずつ、他の各メンバーに向かって、その人の良いところとか特徴を挙げながら、きっと素敵な社員になれると応援していく。

でも、ランダムに選ばれた社員で構成されたグループなんで、誰コイツ?ってやつが1、2人いるわけですよ。名前も思い出せないようなやつが。

適当にごまかして、頑張れ頑張れ言いましたけどねww

こうして、社畜生産場での研修生活5日間のスケジュールが全て終了。

明日から、各人、各店舗に戻って店長候補としての鬼カラオケ社員生活がスタートするんです!少しは休ませてくれ!

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「言うなり地蔵」社畜生産場シリーズ・研修4日目

転職の神様(ウインク)

おっ!あそこに白いカラスがおるぞ!

30代筆者(笑顔)

あっホントだ。黒く見えるけど、神様が言うならあれは白いカラスだね!!

はい or はい

4日目にもなると、もう全員洗脳されてますから、施設内ルールを破ろうとするヤツはいないし、教官に逆らったりするやつは居ません。

そうなると、何が正しくて、何が間違っているのかさえ分からなくなってくるんです。

というより、正解・不正解を判断する必要がないから、考える必要が無い。

だってここは従うしか道のない社畜生産場なのだから。

【カラオケ店の社員として働くスキルを磨くための研修だから、教官の言うことは全て正しい】

私も、そう思っていました。

でも今振り返ってみると、やはり巧妙に仕組まれたスケジュール管理がそこにはあったと分析することができました。

自由な時間を与えるな。

以前、「朝8時から夜7時までビッシリ研修」と、この合宿の一日スケジュールを書きましたが、実はまだお伝えしていないことがあるんです。

朝6時に起きて、施設周辺のゴミ拾いに全員で行くんです。その後、各班に分かれて朝食準備や施設内清掃、研修道具の準備を行います。

これが分刻みで管理されています。

1分でも遅れたりすると、班長がその理由と改善点を教官に説明しなければいけません。

朝食の出来が悪かったり、施設内にゴミが残っていたり、研修所の机の位置が整っていなかった場合も同様です。

普通に刑務所じゃね?ww

6:00起床・点呼・施設周辺清掃
6:30各班に分かれ、朝食準備・施設内清掃・研修準備
7:00朝食
7:30朝食片付け
7:45朝礼・本日のスケジュール確認
8:00研修・講義①
9:30トイレ休憩
9:35研修・講義②
11:05トイレ休憩
11:10研修・講義③
12:40昼食(各自コンビニへ)

午前中のスケジュールはこんな感じ。

トイレは5分で済ませろ。

トイレ休憩5分ってww

小中学校でも、短くても10分ですよね?

毎回のトイレ休憩の時は、腹痛と迫りくる制限時間の2つと戦う者たちが列を作る。1分でも次の研修に遅れたら、班長が理由説明ですからねwww

「トイレ休憩5分に間に合いませんでした」って言うのかなww

12:40昼食(各自コンビニへ)
13:20研修・講義④
14:50トイレ休憩
14:55研修・講義⑤
16:25トイレ休憩
16:30研修・講義⑥
18:00トイレ休憩
18:05今日の総括と各班の課題点・改善点の発表
18:50夕食準備
19:20夕食
20:00ミーティング
21:00 順番に入浴・歯磨き
22:00 今日の感想・明日の意気込みをA4用紙に記入
23:00 自由時間

研修・講義だけで9時間。そこに清掃・朝夕食の調理も加わって、夜になるともうヘトヘトです。

生産場でもそうなんですが、この会社、会議とかミーティングとか大好きなんですよ。

自分たちの課題と反省点、そしてこれからそこをどう改善していくかを自分たちで話し合いさせる。

夕食を食べ終わった後は、ようやく一息つける団らんの間「ミーティング」がやってきます。一息つけるのが朝起きてから14時間後www

これは他の社員たちの経歴だとか、どこの店舗から来たかとか、コミュニケーションを図る時間です。

でも、教官もその場にいますし、本当の意味で「誰にも監視されていない状態で一息つける」という意味ならトイレと洗面所しかありません。

まぁ、監視カメラがあるかもしれませんがww

入浴はひとり10分のシャワーのみ。

終わったら次の人を呼びに行くんです。効率的ですねぇ。

18人いるから、どんなに頑張っても全員シャワーを終えるまで3時間はかかる。女子もいますからね。

20時~23時まで呼び出されるシャワーのタイミングを計りながら、「今日の感想・明日への意気込み」をA4用紙に毎日記入するんです。

これがまた面倒くさい。

直属の上司に提出するらしく、A4用紙に小さい字でびっしり1000文字以上書かないといけない。

もうクッタクタなのに。

2人1部屋なので、部屋にはもう一人いるんですが、シャワーや提出物があるから全然喋らないんですww

喋るのは、就寝前の10分間くらい。「つかれたねー」「おやすみー」って。


ここまで1人の自由時間を与えないのは、何か理由があるんじゃないかと思うようになりました。今ね。

その当時は全く考えもしなかった。というか「考えている時間が与えられてなかった」

実はこれこそが、答えだと思うようになったんです。

【詐欺師は考える時間を与えない】

前にも言いましたね。

1人の自由な時間を与えてしまうと、冷静になって、この会社おかしくね?と気づかれてしまう。そして、他にも気づいた社員がいると、その考えが広まってしまう。

だから彼らがとった最善の策が「1人の時間を与えない」こと。

ここまでスケジュールがパンパンで、1人の時間も最低限なのはこういう隠された理由があったんだと思います。

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「豚に真珠」社畜生産場シリーズ・研修3日目

転職の神様(笑顔)

もう3日目か。そろそろ合宿にも慣れてきたころじゃろ?

30代筆者(話す)

うん!でもね、みんなイライラしてるんだ!

ルール無視で強制退去した2人

合宿の休憩時間中、人のいない隙を狙って部屋に侵入し、暗井(くらい)社員の財布を盗み取った盗田(とった)社員。

その様子は2階廊下を映す防犯カメラにしっかりと映っていた。

警察官と共に消えた盗田社員。その姿を見ることは2度と無かった。

財布が戻ってきた暗井社員。安心して気が緩んだのか中庭でタバコを悠然と吸い、強制退去。

この2人のおかげで、残された18名は殺伐とした3日目を迎えていた。

あっこれ小説じゃないからねww

私が体験した実話だからねwww

連帯責任

昔から思うんだけど、この言葉、私、大っ嫌いです。この言葉だけかざして、責任の範囲を広げる意味が分からない。

「連帯責任だ」とか言ってくるヤツがいるグループ・組織は残念ながら時代遅れのステレオタイプ。このままだと滅びていくことを自覚した方がいい。

でも、私の会社はブラック企業。

3日目の朝に「連帯責任」だからという理由で謝罪するんです。

誰に?って?

みんなが、みんなに。です。

一人ずつ登壇して、あれこれ申し訳なさそうなこと言って、最後に「以後気をつけます、すみませんでした」って。

は?なにが?なにに?って感じですよ。

他人のサイフ盗んで警察に捕まったやつと、タバコ吸っちゃダメって言われてるのに堂々と吸ったやつの責任がどうして私にあるんだ。何を謝るんだ?ってみんな顔に出てる。

でも、謝らないと先に進まないので、私も一応「心のこもったフリ謝罪」しました。

全員の謝罪が終わったら、社畜生産場の教官がパチパチパチッって拍手しながらこう言うんですよ。

「よし、お前ら今日から生まれ変わったぞ。切り替えて頑張っていこう」

生まれ変わるべきは暗井。特に盗田だろ。あとお前も生まれ変われ。


で、初日、2日目と同じように研修が始まったんですけど、教室の空気が重たいんですよ。信じられないくらい張り詰めてるっていうか。

強制的に謝罪させたせい、だ。

18人の社員全員が考えていたと思います。自分たちに責任は無いし、謝罪する必要もないのに、無理やり謝罪させられたイライラ。普通にパワハラ。

でも、そんな空気を変える「ある講義」がこの後あったんです。

女性役員による講壇

50代くらいのおばはんが颯爽と教室にやってきて壇上に上がり、会社の歴史とか辛かった経験なんかを話し始めたんです。

彼女は偉井(仮名:えらい)取締役。全国の鬼カラオケ店をマネジメントする重役です。

ありがたい話をしに、わざわざいらっしゃったんですね。

「あっそういえば昨日、サイフ盗んで捕まった社員がいましたよ!もう聞いてます?タバコ吸って帰ったヤツもいました!」

なんて言ったら私も強制退去だと、誰もが空気で悟ったはずです。

偉井取締役はトッテモえらいヒト、ゴキゲンとれ。と。

ただね、偉井さん?ひとついいですかね?

そんなにジャラジャラ宝石付けて、身振り手振りもキラキラ光ってんのに、講義なんて入ってくるわけないでしょ。

「高そう」ってだけww

取締役なのに、装いも小綺麗なものでまとめて、質素で清潔感のある恰好なら、とても好印象だったのに。

偉井さんはその逆。

「私カネモチでぇす。この会社で頑張れば私みたいになれまぁす」というオーラが出まくりで引きました。少なくとも私は引きました。

ここで私が学んだことは、偉井取締役のありがたいお言葉の数々ではなく、「どれほど偉い立場になったとしても、自分を客観的に判断できる視線を忘れない」ということでした。

もし客観的に判断できないと感じたら、屈託のない意見を自分にぶつけてくれる人を近くに置くことです。それができなければすぐに立場を捨てるべきだ。

そう思いながら、偉井取締役のありがたいお言葉の数々を用意していたメモ用紙に書くフリをする私なのであった。

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「逃げるが勝ち」社畜生産場シリーズ・研修2日目

転職の神様

逃げたら負けじゃろ。脱落者なんじゃから。

30代筆者(驚愕)

最初はね、私もそう思ってたんだ……。

逃げたら脱落者。ダメ人間確定。

最初に5日間の過酷なスケジュールと施設内ルールの順守を徹底的に叩き込まれます。

そして、最後に脅し文句。

「施設内ルールを破った者は、退出してもらいます」

施設内ルール①
「5日間、タバコを吸ってはいけない」

施設内ルール②
「施設内で出された食事以外のものを口にしてはいけない(昼食時は可)」

施設内ルール③
「人のものを盗んではいけない」

この社畜生産場、中途採用者のためのスパルタ研修をする施設なのですが、この5日間の研修を終えていないと社員として認められず、社員→副店長→店長というルートも閉ざされてしまいます。

つまり、施設内ルールを破る行為は「自己都合退職」を意味しますww

だって、この5日間合宿を途中で強制退去させられて、後日またもう一度、研修受けます!って戻ってくる社員がどれだけいると思います?

そんな骨のあるやつ、いませんいません。そんなやつならルール破らないし。


さて今回、研修2日目にして、「施設内ルール①~③」のいずれかが破られてしまうんですが、どれだかわかりますか?

「人のものを盗んではいけない」

2日目の昼食時に、何やら社員の一人が「サイフが無いんです」って生産場の教官に訴えてるんですよ。必死になって。暗い顔してましたから、暗井社員(仮名:くらい)とでもしましょうか。

昼食はご飯が用意されないので、近くのコンビニで買って、施設内に戻って食べる流れなんです。

でも暗井社員だけコンビニに行けない。サイフが無いんですもんね。

仕方なく教官からお金を借りたのか、昼食は何とか済ませたみたいでしたけど、午後の研修は抜け殻のように魂が抜けた状態で取り組んでいました。当たり前ですよねww


トイレ休憩時、夕方だったと思うんですが、警察官の方が来ていて、生産場の教官と何やら話し合っているんです。パソコンをチェックしながら。

その様子を見て、私はハッと気づいたわけです。

防犯カメラ、見てんじゃね?

そう。カラオケ店舗に20台の監視カメラを設置している会社です。こういった研修施設にももしかしたらカメラを設置しているんじゃ……?

カメラ、ありましたww

盗田社員、連行。

午後、その日最後の研修講義が始まる直前に、教官が暗井社員と盗田社員(仮名:とった)が呼び出され、盗田社員はそれ以降、会うことはありませんでした。

おそらく、休憩時間に盗田社員が暗井社員の部屋に入る姿が防犯カメラに映っていたのでしょう。

魔が差してしまう社員なんているかよ、と思っていた私が浅はかでした。

ここに連れてこられた中途採用社員たちは何かしら人生に挫折し、頭のネジが数本外れた人間なんだと再認識しました。私も含めて、ね。

さよなら暗井社員。

盗まれたサイフが返ってきた暗井社員。

安心したのか、みんなが居る中庭でタバコを吸い、強制退出www

ほんっと。バカだなぁ~、と思いました。


盗田社員は犯罪者だし、暗井社員はルール破りで脱落したのですが、施設から抜け出したという意味では、正解だったのかもしれません。

ここで落ちておけば、この後続く1年半の社畜カラオケ店員生活は無かったはずですからね。

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